氏 名
美尾 明
 所 属
東燃清水OB会
 掲 載 日
令和02年12月16日
表 題

 電動貨車 デワ1

本   文 

 静岡鉄道の長沼車庫には大正15年製(御年94歳)の電動貨車が大切に保存されています。型式はデワ1といい、この種の車両が現存するのは非常にめずらしいと思います。車両は有蓋貨車の両端に運転席を設けた形で、運転席の左右の扉はありません。1982年に除籍されたものの大切に保管され、イベントのときには、車庫前の展示場所までゆっくりですが自走します。(製造当初は集電装置はトロリーポールで、後にパンタグラフに変更した)

 戦前の一時期、現新清水駅と波止場(清水港)間(名称:波止場線)に、また現新静岡駅と安西周辺のお茶問屋街間に線路が敷かれ、新清水駅と新静岡駅で清水静岡線と線路が繋がっていたそうです。当時、静岡鉄道では電動貨車を使用して貨物輸送を行っていたそうで、お茶問屋街から輸出する日本茶(静岡茶)を波止場へ、逆に波止場からは連結した無蓋貨車に火力発電所用の石炭や木工用の木材を積み旧静岡市の工場へ運んでいたということです(当時の新清水―波止場、新静岡―お茶問屋街は廃線になっています)。

 戦後デワ1は清水静岡線で工事資材を積んだ無蓋貨車を曳いて、保線作業に活躍しました。特に昭和49年7月7日の豪雨(地元では七夕豪雨と呼んでいます)では、被災した個所の復旧に敷石を積んだ無蓋貨車とともに貢献しました。

 先日、波止場線の線路があったと思われる道路の一部を見てきました。線路を敷いた道は幅が昔と今では違うと思いますが、昔の線路道ではないかと思われる細い道がありました。写真―5は新清水駅の旧3番線の真正面に位置しています。写真―6は、細い道から出て右(→の方向)へ曲がれば現清水区役所の東側を通り波止場に行けます。線路道はあくまで推測ですが、ここをデワ1がお茶を積んで走った姿を想像すると楽しいです。

 写真説明
  写真-1 静鉄デワー1正面
  写真-2 静鉄デワー1側面
  写真-3 静鉄デワー1シンプルな運転席
  写真-4 静鉄デワー1主要諸元
  写真-5 静鉄波止場線廃線跡と思われる道(1)
  写真-6 静鉄波止場線廃線跡と思われる道(2)

以上 

       
 
写真-1
 
写真-2
 
写真-3
 
             
       
 
写真-4
 
写真-5
 
写真-6
 
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