氏 名
角田 三苗
 所 属
東燃化学OB会
 掲 載 日
平成25年11月01日
表 題

 いたく小さく

本   文 


 つい最近までは、現役のころから横浜市のガイドをしておりましたが、あとが短いのでむしろ専門の「歌人」一筋に切換えました。世間からも一応「歌人」として認められています。今回何首かを「いたく小さく」にまとめました。これを読んで頂ければ私の生活や考え方が理解して戴けると思います。

     足の爪深く切りしをわがくやみ冬の一日をはかなくゐたり

     冬の日に干してまばゆき素麺の白より寒気したたるごとし

     敵味方なくもののふを弔ひて古碑に刻める「南無阿弥陀仏」

     春一番荒らぶる一日稀にとぶ雀落つるごとく木の間に沈む

     手応への直ちに返りくるガイド楽しくもあり恐ろしくもあり

     人間を造る技術のまた一歩神に近づく人懼れなく

     街ゆきて触るるものみな熱き昼吹きくる風も心はかなし

     エレベーターに下らんとしてわが体しばし重量を喪ひてたつ

     若きよりひたすら短歌に拠り来しは吾みづからの排悶のため

     人間と動物の距離縮まりて鳥のウィルスに人感染す

     稲光顕つたびビルの各階にはたらく人のあらはに見ゆる

     日中の火照りを返す夜の道あるところ刈り草の乾く匂ひす

     地方より出でこし皇居の奉仕団腰に揃ひの手拭むすぶ

     核廃絶願ひて広島に鳴る鐘の波動をなして街にひびけり

     四日間あけしわが家に帰り来て澱める暑き空気にたぢろぐ

     ボクサーの打合う見ればボディより飛沫のごとく汗の飛び散る

     大夕焼け恣しいままにて北アルプスの空見ゆ雪の山に接して

     稲光たばしる街上に照らされて人も街樹も白しときのま

     次々と巣箱をたちし蜜蜂のたちまち秋日のなかに紛るる

     機雷処理に遠く赴く掃海艇ひつぎ用板積み込むという

     星清き上空今宵も大国の偵察衛星飛びめぐりゐん

     三昼夜飲まず食わずに眠りしか熱の下がりて俄かに腹すく

     祭礼の男根かつぐ民衆にひそむユーモア大らかにして

     高層の六十九階に見る路上人歩みをりいたく小さい

     騙さるる人悪いのか騙す人悪いのかオレオレ詐欺の絶えざる

  添付写真
   1. 平成19,5,17 栃木県小山市立中小学校児童
     第5班の一同と共に(修学旅行のガイド)
   2.平成19,10,6 釜利谷高校公開講座 篆刻に参加

以上 

     
 
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