氏 名
豊田 乾
 所 属
東燃本社OB会
 掲 載 日
平成25年01月22日
表 題

 短歌便り-31(新年&囲碁)

本   文 


短歌便り-31(新年&囲碁)

 「何となく今年はよい事あるごとし元日の朝晴れて風無し」啄木

 「去年(こぞ)今年貫く棒のごときもの」虚子

 *敗れたる棋士が嘆きて酔へるさま読めば悲しき繰り返し読む「月」

 *寝むとして瞼にたどる昼の碁や百手前後に(ゆる)みのありし「雷」

 *存分に打ち回ししが一石の打ち過ぎありて全局を失す「雷」

 *読み切らむ根気続かず成り行きのままに打つ石一瞬に()ゆ「雷」

 *一手勝ちになるや攻合(せめあい)読み疲れ甘く打ちては悔いを残しぬ「雷」

 *時至らば(しほ)満つるがに寄せなむと中盤しばし石厚く堪ふ「雷」

 *決断に指(しな)ふなり黒模様深く打ち込む一つの白石「雷」

 *読み浅く打てる一手に全局の(もつ)れに縺れしかの碁ならずや「雷」

 *一瞬のこころゆるびに大石のいまや追はれて地の失せむとす「拳」


 老化現象のためか歌を詠むのが億劫となり、短歌便りも怠けてしまいました。

 あまりご無沙汰するのも申しわけなく、他人の佳歌を紹介するのも一法と、新年と囲碁の短歌と俳句を紹介させていただきます。

 *印は私の短歌の師匠である来嶋靖生先生の作で、括弧内は歌集名です。

 囲碁の川柳は多いが、短歌は少ないので、多少とも囲碁を嗜む方々には面白いと思います。棋力もすっかり落ちてしまいましたが、そこは歳のせいでやむをえずと割り切り、老妻と二人で毎夜ネット碁を楽しんでいます

以上