氏 名
大橋 益男
 所 属
東燃本社OB会
 掲 載 日
平成25年01月08日
表 題

 新春参禅(詩)

本   文 


ここ20年近く、正月三が日に近所の曹洞宗K寺での早朝の参禅を恒例にしている。

昨年、地元シニア大学の友人に勧められて、その模様を詩に表し「さいたま市民文芸」に応募したところ入選した。いかにも説明調で、文章にふくらみがなく汗顔の至りであるが、新春の話題としてご笑覧いただければ幸いである。

                  「新春参禅」

          (いま)だ明けやらぬ道の奥に
          本堂の灯りが浮かぶ
          道の両端の家々は
          大晦日の名残か 夢の中
          闇と寒気を分け 山門へと歩む

          格子戸を開け本堂に()
          そこは釈迦牟(しゃかむ)尼仏(にぶつ)のおわす世界
          支配する空気が わずかに重い
          自らの個を消し その中に溶け込む

          作法に従い 明障子を前に座る
          途端 亡き人の顔々が浮かんでくる
          下桟に目を落とし 気を整える
          やがて静寂の中 幹線道路を走る車の()
          澄んだ響きで耳に届く

          時至って(ほう)(ぜん)の太鼓、魚板(ぎょばん)、鐘の()
          堂内の空気を震わせる
          ふっと息を吐き 現実の世界に戻る
          世の安寧を祈りつつ 座禅を解く                       

                             (さいたま市民文芸第11号入選)

以上 

       
 
曹洞宗K寺
 
K寺本堂
 
座禅を終えた私
 
             
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