氏 名
豊田 乾
 所 属
東燃本社OB会
 掲 載 日
平成24年9月14日
表 題

 短歌便り-29 (秋-2)

本   文 


 ただ独り声かぎり啼く残り蝉めぐり会いなく今宵果つるか

 金色に縁どりをせし茜雲ワインレッドの空に漂う

 日だまりに犬なでおれば何処からか秋の祭りの囃し聴こゆる

 夜もすがら細々鳴きし蟋蟀(こおろぎ)も今宵は鳴かず秋の果てるか

 たまさかに一片(ひとひら)の紅葉舞い入りぬ浮かべしままに薄茶楽しむ

 舞いこみし楓紅葉の(あざ)やぎて薄茶の緑に(くれない)を添う(六義園茶店)

 真昼間の馬車道通りの秋の日の光の中を銀杏散るなり(横浜)

 秋ふかむ山の楓や(はぜ)の葉は昨夜(よべ)時雨(しぐれ)ににわか色づく

 小春日に紅く熟れたる柿をむく夕陽ににぶくナイフ(きら)めく

 露おきし南天の実の朱は増しぬ欠礼の便り重なる(あした)

 暦の上で立秋はとうに過ぎたが、今年も残暑とは言えぬ暑さが続く。それでも、朝夕の風には爽やかさがまし、夏雲の上の青空の高みには刷毛ではいたような秋の卷雲が出ている。季節は違いなく巡っている。

 秋の野山には美しく彩られた風景が広がる。木々や草の彩り、鮮やかな夕焼け、茜雲、黄金色に色づいた稲穂、夕陽に映える柿、咲き乱れる秋の七草、日本の秋は色彩の競演となる。さらに、栗、梨、蜜柑、葡萄、松茸、玉蜀黍などの山野の実りに加え、落ち鮎、秋刀魚などの海や川の恵みが味覚を楽しませてくれる。

 海の恵みと言えば、和歌山のそと浜の防波堤で鯵をサビキ釣りで釣った想い出も懐かしい。

以上