氏 名
加藤 浩二
 所 属
東燃本社OB会
 掲 載 日
平成23年11月01日
表 題

 俳句便り-2

本   文 


 1.酒断ちて夢の中での花見かな

 2.新緑に宿木(やどりぎ)(あお)溶け込みぬ

 3.疏水(べり)酔眼で見る蛇長し

 4.指先に花咲くごとく胡瓜()

 5.夏休み心弾みし海(あお)

 6.夏没日(なついりひ)魚跳ねろや高々と

 7.潮溜まりここも大なる世界かな

 8.主去るも()(あやつ)るか蜥蜴(とかげ)の尾

 9.喉渇き見舞い帰りの西日かな

10.空蝉(うつせみ)になりし知人(ひと)との酒静か

11.二日酔い論点(おぼろ)や牧水忌

12.眩く(まばゆく)もよぎる面影金木犀

13.妻残すワタまで食らえ初秋刀魚

14.おちこちの種の陰干し菊日和

15.季寄せにはマンボウ忌とせよ秋の季語

 春から秋までの句をまとめました。この間は日々の自然の変化が激しく、心に沁みる事象が沢山あり句を作りやすい時候です。

 先般、我が青春の愛読書「夜と霧」「幽霊」「ドクトルマンボウ昆虫記」「楡家の人々」等の作家、北 杜夫の訃報を知って誠に残念な思いがしました。この喪失感は「内田 百閒」「高橋 和己」

 「山口 瞳」「藤沢 周平」「古今亭 志ん朝」「鶴田 浩二」「先代の飼い猫」の時とは少し違い、大事にしてきた世界が遠くへ去ったような気がします。

                                               以上