氏 名
豊田 乾
 所 属
東燃本社OB会
 掲 載 日
平成23年09月15日
表 題
 短歌便り-20 (旅)
本   文 


 短歌便り-No.20()

  海望む岬の丘の啄木の墓石は(ぬく)し春の陽集め

  啄木を詠うガイドは函館を住みよき街といくたびも説く

  はるばると金毘羅宮に登り來ぬ孫にと一つ黄の守札を買う

  夕暮れて残り蝉鳴く桂浜竜馬の像は沖見すえ立つ

  冷えびえと通り雨過ぎ水路には鯉群がりて丸々と肥ゆ(津和野)

  日は暮れて仙崎の街にひと気なし少女みすずの隠れいるごと
                        
(金子みすず記念館)

  乙女らの白き踵の後追いて夏の砂丘を喘ぎつつ登る
                         
(鳥取砂丘)

  夜祭の山車(だし)曳く()らの掛声(こえ)高し冷たき雨を撥ねかえすごと
                          (
秩父夜祭)

  能登岬の灯台白し海風に逆らうごとく鳶一羽舞う

  旅はよし家はなおよしゆるゆると手足伸ばして大の字に寝る

  

 歳を重ねるたびに脚腰も弱り、空路十数時間もかかる海外への個人旅行は次第に難しくなった。

 しかし、国内にはまだ訪れていない多くの名所旧蹟がある。個人旅行に比べると、印象は薄くなるが、格安の団体旅行も増えてきた。団体旅行では重い荷物を運ばずに済むし、宿の予約もしなくてよいのが有難い。

 旅のメモ代わりに作った歌で駄句拙作ばかりだが、心に残る旅の一瞬を詠んでいるせいか、それぞれの歌をよむと、懐かしい旅の想い出が胸一杯に鮮やかに蘇る。

 何よりも夫婦二人で旅行できる現在が有難い。

                            以 上

                         
みんなの広場へ |   ホー ムペ ージへ