氏 名
大峯 登
 所 属
東燃和歌山OB会
 掲 載 日
平成23年09月08日
表 題

 海南市の文化財案内 「温 山 荘 園」

本   文 


 海南市船尾にある温山荘園は、動力伝達用革ベルトを明治21年(1888)日本で始めて製造を始め、富国強兵の波に乗って財を成した「新田長次郎」氏が、大正から昭和初期にかけて造園された「潮入式池泉回遊庭園」で、名の如く海から海水を引いているため潮の満ち引きに応じて池の水位が上下し、岩が水没したり現れたりと変化するように工夫されている。又、池の水が汽水域であるため、池には淡水魚 海水魚が群を成して泳いでいる。

 文化財について説明すると、温山荘は県下で7番目の「国指定名勝」であり、邸内に建てられている主屋(本館)、浜座敷、茶室(鏡花庵)の3棟は国の重要文化財となっている。庭園内は明るく開放的で主屋の座敷からの眺めは松と岩と池が調和した和風庭園であり、心安らぐ景観である。又、庭園内には石灯籠が数多く(19基)配置されており、江戸時代のキリスト教禁制時隠れキリシタン達が、灯籠にマリア像や十字架を彫り込み信仰の対象とした石灯篭やハートマークを彫り込んだ灯籠等もあり、石灯篭を見て回るのも一興である。

 この温山荘の名は、東郷平八郎が長次郎の求めに応じて長次郎の雅号「温山」から命名したという。。又、主屋内には明治の有名人の書がたくさん保存されており、特に新田氏が愛媛生まれということで、司馬遼太郎の「坂の上の雲」に登場する秋山好古を初めとする著名人の書や写真が多く拝観できる。

 又、温山荘園には隣接して県立博物館(水族館)やプール、又子供たちが走り回れる広い広場があり、庭園だけでなく家族連れで楽しむことができる市民の憩いの場でもある。

                      紀州語り部  大峯 登

1 茶室
2 茶室と庭園
3 浜座敷
4 本館中景

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