氏 名
豊田 乾
 所 属
東燃関東地区OB会
 掲 載 日
平成22年11月09日
表 題
 短歌便り-7
本   文 


    短歌便り-7「愛犬ゴン太」

  われを迎え転がるごとく駆け寄りしゴン太抱けば愁いは失せぬ

  妻おらぬ留守居に犬も淋しきかわれに寄り添いあご乗せ眠る

  チンチンも叶わずなりし老犬は伏せ繰り返し悲しき目する

  病み臥せる犬の名呼べば健気にも尾を振り立ちて歩まんとする

  苦しげに啼く病犬をオロオロとただ抱きやる妻の目に涙

  愛犬は別れ告げるか愛しげにわが手を舐めてこと切れにけり

  死せし犬を抱き嗚咽する妻を残し独り書斎に声殺し泣く

  わが老いの姿重ねて(いと)しみしゴン太は逝きぬ目に泪溜め

  白薔薇を墓標に犬を葬れり春には咲きて()に会いに来よ

  散る花を踏み歩みつつ思い出づ(しべ)身にまとい駆け寄りし犬を

 「ゴン太」はミニチュア-シュナウザー犬の雄、番犬なので家近く見知らぬ人が来るとけたたましく吠え、知らせる。帰宅時には必ず同じ場所で待ち、食事時には隣の椅子に座りおこぼれを待つ。夜は妻のベッドにもぐり込んで眠る。好きなのは朝夕の散歩、嫌いなのは雷と花火。18年間生き我々を慰めてくれた。

                            以 上

                         
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