氏 名
豊田 乾
 所 属
東燃関東地区OB会
 掲 載 日
平成22年10月8日
表 題
 短歌便り―5
本   文 


短歌便り-5 秋立つ

 秋立てど暑き(あした)に見上ぐれば水色の空に鰯雲流る

 浮雲を茜に染めて沈む陽に金と輝き翔ぶ一機あり

 腹ばえば干せし布団に陽の匂い秋天高く一片(ひとひら)の雲

 遥かより祭り囃子の()を乗せて秋の風吹き木犀薫る

 逆光に翅きらめかし一斉に蜻蛉(あきつ)の群れは夕陽に対す

 光りつつ谷戸(やと)稲架木(はせぎ)の上に翔ぶ赤き蜻蛉は数かぎりなし

 昨日まで群れいし鮎は影もなし秋の夕陽に水底(みなぞこ)の透く

 秋天に百舌鳥(もず)の高音の(とよ)もして谷戸の棚田は稲の香に充つ

 今年の夏は異常気象とて、何時秋が来るかと心配していたが、空の高みには秋の雲が流れていた。谷戸の稲田には赤とんぼが無数に翔び、何時の間にやら鮎の姿は消え、百舌鳥の声が響いている。季節はまぎれなく巡っている。

以上     

                         
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