氏 名
小野誠之
 所 属
東燃和歌山OB会
 掲 載 日
平成21年 8月15日
表 題

フィルム一筋

本   文 


 私が8mm映画撮影を始めたのはスチール写真と同様山登りの記録を残したいからであった。

 今思えばなんでこんなしんどい事を始めたのだろうかと思う。カメラを持てば人一倍動きまわり休憩時間でも周囲を眺めて何かを一カット撮っておけば何かに役立つことがある。山行きの荷物を出来るだけ軽くする為、小型のカメラと言う事でNIKKOREX-8F(ズームコンバージョン2倍付き700g)、レギュラーフィルム(16mmフィルムの片側ずつ往復撮影する)時代の頃(S37年)から始まった。

 レギュラーフイルムは磁気コーティングが出来ないのでヘタナ活弁にテレコの適当な音で伴奏した。

 今思えば幼稚な事をしていたものだ。それでも山の仲間と一杯やりながらわいわいとそれを見るのも楽しいものであった。思い出して、古いフィルムを見る事がある。紙上では皆さんにその様子をお見せ出来ないが。・・・・みな若い。

 私達の時代は物が豊富でなかった戦前、戦中に育った為か物を大切にと言う事を教え込まれた。昭和35年製のオンボロ車も公道を走れる状態で今手元にある。雨の日は走らせないが。その教えが元で8mmカメラでも壊れるか、フィルムの発売が止まって使えなくなるまで当初のカメラで頑張った。

 シングル/スーパーの新型フィルムが使える新しい多機能の搭載されたカメラが出回ってもなかなかそれに移れなかったが、とうとうレギュラーフイルムの国内現像停止(H元年)となったので止む無くシングル/スーパーフィルム使用のカメラへ移った時は既に8mmカメラの全盛時代は過ぎていた。カメラはレンズも明るくなり、ズームレンズ付きで又、現地録音機能、オーバーラップ機能など便利な機能が備えている事は有難いがカメラは1.5~2kgと重くなった。年をとって体力が低下してくるのに山行きの荷物が軽くならない。撮影を止めようかと思うが止められない。

 ビデオもどんどん毎日と言っていい位新しくなっている。重いカメラより軽いビデオに変りませんかとの誘いが時々ある。ビデオはフィルムに比べて暗い所でも強い。又フィルム1巻3分20秒に比べれば長時間の撮影が出来、機能を個々に見れば確かに有利であり素晴らしいと思う。

 しかし8mm撮影機のフィルムをかき落とすカシャカシャと言う音は蒸気機関車の力強い音のようにたまらない魅力的な音だ。ビデオにはない力強い音だ。あの音を聞かないと撮影したという気分になれない。

 少し前、ヨーロッパ旅行をした時も8mmカメラを持って行った。ヨーロッパでは古い8mmカメラで撮影している人を見掛け気を良くした。まだまだ8mmフィルムで撮影している人は外国にもいるんだ。8mmフィルムで映像を充分楽しもうと自信を持った。

                                                 以上

 補記:小野誠之氏は、現在55年間もすばらしい活動を続けている伝統ある「和歌山映像クラブ」の7代目会長としてご活躍中です。(藏道)

小野誠之氏

この真をクリックすると拡大写真が見られます