氏 名
松田 靖彦
 所 属
東燃関東地区OB会
 掲 載 日
平成21年 6月15日
表 題

 思い出の一葉 アンナプルナⅢ峰

本   文 


 生来の山好きゆえに、東燃在職中はワンゲル部に籍を置き、多くの仲間との山行を楽 しんだ。リタイア後もそうした仲間とのお付き合いが続き、海外にも足を伸ばした。
 99年(平成11年)3月、旅行社の企画した「ヒマラヤアンナプルナ連峰北面の秘 境へ飛ぶ9日間の旅」というツアーに東燃本社ワンゲル部OBの中島氏、宮崎氏と同氏の友人4人で参加した。
 アンナプルナ山群は、ネパールの西側に在り、東西約60Km、南北約40Kmに拡がる大山塊で、主峰のⅠ峰は標高8091m、1950年、フランス人エルゾーグが初登頂を果たし、人類の足跡が始めて 8000mを越えたことで有名である。
 成田から10時間のフライトで、ネパールの首都カトマンズへ着いた。予想に反して空気は排気ガス臭く、小さな子供がわれ先に荷物を奪い合ってバスまで運び、駄賃を要求する様にいささか幻滅した。
 そんな悪い印象も翌日からは一変。翌朝ヘリに分乗して西北西へ120Km、約40分でマルシャンディの広い谷を遡り小さな飛行場のあるオングレ(標高3300m)に到着。その間、左窓からはアンナ山群秀峰マチャプチャレ、右窓からはマナスル山群が迫るという豪華なフライトであった。このアプローチは、従来なら徒歩で7日間を要したとのこと。
 オングレは、アンナ山群の北麓、たとえば奈良の大仏様のお膝あたりに位置し、見上げるとお顔のあたりが7500m級のアンナⅢ~Ⅳ峰の頂上ということになる。村の北側は、6500m級の山脈でチベットも近い。牧歌的で、何となくチベットの匂いが濃 く、観光コースから外れてひっそりと好ましい肌ざわりがあった。
 そして、その翌日はヒマラヤアンナ山郡の北側、秘境といわれるマナンへ。片道8K m、開けた谷筋、乾燥地帯の砂礫道、低いタマリスクや松の疎林の中を行く。途中にあるブラガの部落は見上げる裸の雨蝕の崖に、白いゴンパ(僧院)を囲んで黒い蝙蝠のような家々がへばりつくように立ち並び、更に背後の高い断崖の上から白雪のチベット境の峰が覗いている光景は、まるでJ.ヒルトンの「シャングリ・ラ」を彷彿させるもの があった。
 紹介の「思い出の一葉」は、そんなヒマラヤの空気を満喫した中で、サブシ谷の圏谷から撮ったアンナプルナⅢ峰の勇姿である。

 けんこく:氷河の浸食によって、山頂直下の斜面が、すくい取ったように円形に削られた地形。日本では飛騨・赤石・日高山脈などにみられる。(大辞泉)
                                     以上

アンナプルナⅢ峰
同行の中島、 宮崎氏と私
ネパール略図

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