氏 名
大峯 登
 所 属
東燃和歌山OB会
 掲 載 日
平成20年4月6日
表 題
 熊野古道おもしろ物語(速玉大社
本   文 


 題記、熊野古道おもしろ物語(速玉大社)を投稿します。

 11ヶ月にわたり毎日新聞に連載し、皆様にもお読みいただいた「熊野古道おもしろ物語」は、和歌山を出発し、無事熊野速玉大社に到達しましたので、今回をもって最終回とさせていただきます。

 長い間お読みいただきありがとうございました。

 尚、毎日新聞では次の企画を考えておるらしいので、今後のものも興味深いものでありましたら、又お読みいただこうと思っております。

     「お灯(おとう)まつり」は男の祭り

 熊野権現速玉大社は熊野川の川口近くにあり、神門をくぐると朱色の熊野造りと流れ造りの社三棟が楠や杉の茂る神域に建ち、明るく開放感のある神社である。

 熊野速玉の神は神倉(かんのくら)山の神倉神社を起源とし、次に阿須賀神社の地に移り、そして現在の速玉大社に祭られた。神倉神社などの古い宮に対して現在の速玉大社を「新宮」と呼ぶのはこのためであり、地名の新宮もまたこれに由来する。従ってよく言われる「本宮」に対する「新宮」ではありません。

 熊野速玉大社の南にある小高い山が神倉山で、その山上には熊野三所大神が最初に降臨されたというご神体の巨岩「ゴトビキ岩」があり、その岩の下に神倉神社が祭られている。そして源頼朝が寄進したといわれる538段の急峻な石段が麓から神社まで続く。毎年2月6日夜、勇壮な火祭り「お灯まつり」がここで行われる。白装束に荒縄を腹に巻いた「上(のぼ)り子」と呼ばれる二千人を超える男達が、松明の火をかざしながら一斉にこの急峻な石段を一気に駆け下る神事である。    

 「お灯まつりは男の祭り、山は火の滝、下り龍」といわれるように、祭の夜に延々と山腹を駆け下る炎の帯はまさに「下り龍」そのものである。

                          紀州語り部 大峯 登

お灯(とう)まつり
なぎの大樹
神倉神社
速玉大社