氏 名
井出 英生
 所 属
東燃清水OB会
 掲 載 日
平成19年1月8日
表 題
 ボルネオの森
本   文 


 南の島、ボルネオの原生林の中を歩いてきました。東京から飛行機で6時間、東マレーシアのサバ州の州都コタキナバルからタクシーで更に2時間半、東南アジア最高峰のキナバル山一帯の広大な地域に日本の屋久島などと共に世界遺産(自然部門)に指定されたキナバル公園があります。

 そこは針葉樹が全く見られない熱帯特有の木性羊歯、ラワン、絞め殺しの木、野生バナナ、蔓性ヤシ、バンブーなどが生い茂る本当の原始の森で、山岳トレッキング用の幅80cmほどの道がつけられている以外には人の手は殆ど入っていません。世界最大の花ラフレシアや食虫植物ウツボカズラ、多くの蘭が自生していることでも知られています。

 その広大な地域には全部で300人程も収容できるかと思えるほどの宿泊施設しかなく入境する人は僅かです。キナバル山には登山許可証がないと登ることさえできません。マレーシア政府による自然保護はかなり行き届いており環境は良好に保たれています。そんなジャングルの中を一人で3日間歩きましたが、その間ついに一人の人とも出会うことはありませんでした。

 オランウータンも住むという深い森です。歩いている最中にも多少は心細い思いはありましたが熱帯の珍しい鳥、昆虫などに気を取られ、命にかかわると言ったほどの心配はしませんでした。しかし無事帰ってから考えてみますとやはり一人はちょっと危なかったかなとも思っています。

 公園から外へ出るとそこでは森が伐られ、小さな集落の周りにはプラスティック製のゴミ、ポリ袋などが散乱し環境を汚していました。自然保護の大切さ、発展途上国の資源を浪費して近代的な生活をしている自分たちの態度の見直し、一刻も早い生分解性プラスティックへの切り替えなどいろいろ考えさせられた旅でもありました。

 日本に帰る前の3日間は海岸のリゾートでゆっくり過ごし、マレーシアの別の一面も見ることができました。

        目を閉じれば 寄せる波 返す波 絶え間なく 

                音、静かに 涼しき風 そっと髪を吹く 南の島   (英 生)
 

*来年春にはライセンスを取ってキナバル山頂に挑戦します。              以上

足元に咲く(1)
 同左(2) ミヨウガの仲間
樹間から見えた
キナバル山の勇姿 
ジャングルの中に続く道
(幅の広い部分です)
野生のバナナ
高さ10mもある木性羊歯
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